映画

天気の子の感想・ネタバレあり。新海誠が伝えたかったことは何か

本記事では新海誠監督の最新作「天気の子」の感想、ネタバレについて紹介します。

fura
新海誠監督は「天気の子」で一躍有名になりましたね。

実は映画好きに「天気の子」の評価は賛否両論でした。

それもそのはず、天気の子はSF作品にもとれます。

新海誠の作品のなかでも、「雲のむこう、約束の場所」や「ほしもこえ」、「星を追う子ども」のようなアクションやファンタジー要素の強い映画です。

「秒速5センチメートル」や「言の葉の庭。」、「君の名は」のような展開を想像して観てしまった人には、評価が悪くなってしまったのでは。

とはいえ、RADWIMPSが担当する音楽の疾走感や、新海誠作品の特徴である美しすぎる背景画は、どれも過去作品には負けないくらい素晴らしく、見ごたえのあるものです。

特に背景画については、「言の葉の庭。」から見てとても細かくなっていました。

やはり、「君の名は」が大ヒットを記録し、使える予算も増えたのでは?と感じましたね。

「天気の子」を観た感想

今の時代だからこの作品が産まれたんだなと妙に納得できる内容。

良い悪いはさておき、こんなラストが描ける新海誠監督の世界観はやはり凄いです。

一昔前なら、自分を犠牲にして他人を救うというのが美徳で、ヒーローとは他人のために自分を犠牲にするということが代名詞。

でもこの作品は違います。

自分はどうしたいのか?

自分が心の底から本当に望む世界はどんな世界?

自分の最愛の人を選ぶのか、はたまた世界を選ぶのか。

主人公穂高は究極の選択に迫られます。

これまで作られた作品だと、個より全体を救うということに美を感じるようにストーリーが進んでいくのが圧倒的だったと思います。

なぜなら観客はそこに感動を感じるからです。

犠牲になる姿に感動し涙するのです。

思い出してください。

過去にそんなストーリーに心打たれた経験はありませんか?

この作品を観ていると、主人公穂高と自分が同化して、まるで自分がその選択を迫られているような感じがしてきますよ。

そして穂高が出した結論は・・・

私はきっと世界を選ぶのだろうと思っていました。。。

考えてみてください。

一人の犠牲が世界を救うのです。

穂高に悟らせようと須賀が語りかけます。

まるで私が感じたことを代弁するかのように。

社会に属している私たち大人が考えることは、個が全体の流れに逆らっても勝てない。

だから逆らってはいけない。

逆らっても何も良いことはない。

周りと同じ歩調でいることが波風が立たず最良の選択。

そして意を唱えることを辞めてしまう。

でも魂は忘れていない。

だからこそ、最初は穂高を悟らせようとした須賀も、最後は心打たれて行動に移したのでしょう。

須賀が涙する場面があります。

本人は心が動かされていることに気が付いていないのです。

他人から言われて初めて気がつくのです。

皆、日々の生活をこなすために、自分の感情に蓋をします。

そうしなければ成り立たないから。

須賀には暗い過去があります。

最愛の人に先立たれ、会いたくても会えない

失くした喪失感から立ち直ることができず

自分の気持ちに蓋をしていました。

10代の穂高は最愛の人に会いたいという気持ちを貫きます。

どんなに周りの大人や状況がNOと言ってもです。

そんな行動に心を打たれたのです。

思い出したのです。

自分の人生を棒にふってもいい

一生をかけてもいい

そこには、損得や利害のかけらもない

純粋な愛

魂が共感したのでしょう。

水浸しになった東京

須賀の事務所も水が押し寄せます。

窓を開けなければ、室内に浸水しなかったのに

須賀は窓を開けます

容赦なく侵入してくる水

須賀の娘、萌花の身長の記録が刻まれた柱

冷蔵庫には亡くなった妻のメモが。。。

状況を素直に受け入れる須賀がとても印象的でした。

穂高はもう一度陽菜に逢いたいと切望します。

冷静に見るとなんてバカなことをしているんだと。

その後の人生にとって良い事など一つもないと批判する人はいるのだと思う。

警察から逃げ出したのですから。

でも、彼がとった行動は銃をブッ放すという驚きのシーン。

アニメだから警察が来る前に陽菜に再開してハッピーエンドだと考えた私は驚きました。

ここでこのシーン、じゃあこの先どんなエンディング???
とハラハラしながら観ましたよ。

ここまでの純粋な想いは10代独特の感情だなと感じました。

それだからこそ美しくて儚い。

そして共感できる感情です。

子供は純粋に共感し、大人はその頃を一瞬にしてして思い出す。

大人も楽しめるアニメです。

「君の名は」でも話題になりましたが、風景の描写がとてもリアルです。

例えば駅のホーム、その場所を知っている人なら、「あっ」と驚くほどのリアル感。

現実的だからこそ、アニメだけど親近感が湧くのだと思います。

ちょっとした風景もリアルなんです。

まるで本当の映像を見せられているような感覚。

また、景色もとても綺麗で、情景を観るだけでも感動します。

また「君の名は」に引き続き、音楽は「RADWINMPS」彼等のスピード感のある音楽と映像が合間ってテンポ良くストーリーが進んでいきます。

新海誠監督の独特な世界観とまるで現実世界のような映像が繰り出すストーリーは、大人が遠く忘れていた感覚をえぐり出す。

「子供の頃の感情、魂の記憶を呼び起こす」そんな感覚に飲まれます。

だから人はこの作品に反応するのではないでしょうか?

人類はどんな環境にも適応する。

適応していくものだと。
例えそれが今の人類が考える最高の結果であっても、最悪の結果であっても。。

他人から自分へシフトしていく時代に自分は生きているのだと改めて感じさせる作品でした。

映像、音楽、ストーリー、全て必見です!

-映画
-, , , ,